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プロ向け最新SSDの圧倒的な性能を体験する<br>「エクストリーム プロ M.2 NVMe 3D SSD」徹底検証

プロ向け最新SSDの圧倒的な性能を体験する
「エクストリーム プロ M.2 NVMe 3D SSD」徹底検証

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写真家向けSSD「サンディスク エクストリーム プロ M.2 NVMe 3D SSD」の快適なパフォーマンスを確かめる。

 サンディスクのSSD「エクストリーム プロ」シリーズに、超高速モデル「サンディスク エクストリーム プロ M.2 NVMe 3D SSD」が登場した。Serial ATA 3.0接続の2.5インチフォームファクターだった前モデルに対して、新モデルはNVM Express(NVMe)に対応するPCI Express 3.0 x4接続のM.2フォームファクターとなり、転送速度が大きく向上した。写真のレタッチなどで快適な操作を約束する、サンディスクのエクストリーム プロシリーズの名に恥じない性能を実現している。

エクストリーム プロ M.2 NVMe 3D SSD

エクストリーム プロ M.2 NVMe 3D SSD


サンディスク製SSDのフラグシップモデル

 サンディスクは現在、Western Digital傘下であり、それぞれがPC向けのSSDを投入している。Western Digitalブランドが広く一般PCユーザーをターゲットとしているのに対し、サンディスクは主力であるカメラユーザーを中心に、映像や音楽制作、CADといったクリエイティブ分野のユーザーをターゲットとしている。

 そしてエクストリーム プロは、同社のメモリカードと同様、最上位シリーズに用いられる名称だ。エクストリーム プロ M.2 NVMe 3D SSDは、プロやハイアマチュアの写真家がストレージに求めるスピード、耐久性、容量に応え、長期保証を添えている。

エクストリーム プロ M.2 NVMe 3D SSD
写真家に定評の「エクストリーム プロ」ブランドだけあって、パッケージに「クリエイティブに最適な高速SSD」の文字が踊る。5年保証でサポートも手厚い

写真家に定評の「エクストリーム プロ」ブランドだけあって、パッケージに「クリエイティブに最適な高速SSD」の文字が踊る。5年保証でサポートも手厚い

 エクストリーム プロ M.2 NVMe 3D SSDのスペックは、製品名にも現れている通り。M.2 SSDには、Serial ATA接続のものとPCI Express接続のものがあるが、本製品は後者であり、PCI Express接続でもAHCIと高速なNVMeがあるが、これも後者を採用している。つまりとても速い。

 NVMe対応のエクストリーム プロは本製品が初めてだ。もちろん、エクストリーム プロ史上最速のモデルである。エクストリーム プロ M.2 NVMe 3D SSDの公称スペックは、シーケンシャルリードが3400MB/秒、同ライトが2800MB/秒。この転送速度は現在のNVMe対応NAND SSDの中でトップクラスだ。

M.2 2280フォームファクターを採用。PCI Express 3.0 x4接続でNVMeに対応を果たした

M.2 2280フォームファクターを採用。PCI Express 3.0 x4接続でNVMeに対応を果たした

 次に、製品名の「3D」は、サンディスク製3D TLC NANDチップの採用を意味している。3D NANDは、3次元的にNANDセルを積み重ねる技術を指し、それ以前の2D(平面)NANDに対してダイ当たりの容量を増加できる。

 エクストリーム プロ M.2 NVMe 3D SSDのラインアップは、現在のスタンダードな容量である500GBモデルと、さらなる大容量を求めるユーザーに向けた1TBモデルの2種類。それも、多数のメモリを搭載できる2.5インチドライブというHDDにも使われてきたフォームファクターではなく、小さな板状のM.2 2280という限られたスペースのフォームファクターで実現している。もちろん、ハイエンドなりの価格ではあるものの、1チップ当たりの容量が増えるということはコストにも影響するため、ここは特に重要な技術といえる。

製品は表面のみの片面実装。つまりエアフローが乏しい裏面のチップの発熱を気にする必要がない

製品は表面のみの片面実装。つまりエアフローが乏しい裏面のチップの発熱を気にする必要がない

 同時に、プロセスルールの微細化の限界に達していた2D NANDに対して、3D NANDでは“少し緩い”プロセスでも大容量化を実現できる。この余裕を持って製造できる点で、NANDにつきまとうデータ書き換え回数の問題が改善している。

 どれだけのデータ書き換えができるのかという指標である「TBW」で比較をすると、前モデルのエクストリーム プロ SSDの960GB版が80TBW以上、前世代の3D NANDを採用しているUltra 3D SSDの1TB版が400TBW。これに対してエクストリーム プロ M.2 NVMe 3D SSDの1TB版は600TBWと、大きく向上しているのが分かる。

 最大の特徴である高いパフォーマンスは、高性能なコントローラーチップによるところが大きい。エクストリーム プロ M.2 NVMe 3D SSDを開発するにあたって、Western Digitalでは、自社でコントローラーチップを開発することを選択した。例えば、前モデルのエクストリーム プロや、M.2 SSDのWD Black PCIe SSDでは、他社のチップを利用していた。一方、サンディスクは3D NANDをはじめとして最新のNANDチップの製造・開発を行っており、現在から将来に向けて自社製NANDチップに最適化された形でコントローラーチップを作れる点が強みだ。

 エクストリーム プロ M.2 NVMe 3D SSDのコントローラーチップは、なかなかにユニークな設計だ。特にユニークなのが消費電力を抑える設計。現在のSSDは高速化に伴って消費電力や発熱が問題になりやすい。コントローラーチップの中でも特に消費電力と発熱が多いのがCPU回路である。

 同社のコントローラーチップは、「データパスエンジン」を設け、データの読み書きの大部分をこのデータパスエンジンを通じ、CPU回路を遠回りさせることで消費電力と発熱を抑えている。

 消費電力の公称値はアクティブ時で110mW(500GBモデル)となり、前モデルの135mW(512GBモデル)に比べて消費電力が小さい。SSDの消費電力を一般ユーザーが計測するのは難しいが、ベンチマークテストのようなデータ書き換え処理を繰り返した直後にチップに触れてみると、確かにそこまで熱くならないことを体験できるだろう。

 エクストリーム プロ M.2 NVMe 3D SSDの保証期間は5年間だ。SSDという目まぐるしく進化を遂げるパーツにおいて、5年も利用できれば世代は何代も交代する。そう考えれば、5年間保証は製品ライフサイクルから見て十分な期間だろう。


公称値通りのパフォーマンスで、処理に要する時間も短縮

 それでは、エクストリーム プロ M.2 NVMe 3D SSDのパフォーマンスをベンチマークテストで明らかにしていこう。

 今回用意した環境は、Intelの最新メインストリームプラットフォームであるIntel Core i7-8700Kプロセッサと、Intel Z370マザーボード、DDR4-2666メモリ8GB×2枚、Windows 10 64bit版のシステムだ。

 SSDはエクストリーム プロ M.2 NVMe 3D SSD 1TBモデル(以下、エクストリーム プロ M.2 NVMe 1TB)を用意し、比較対象として同じ工程で製造されているWestern Digitalブランドの「WD Black NVMe 3D SSD 500GB」(以降 WD Black NVMe 500GB)と、WD Blackの1つ古い世代にあたる「WD Black PCIe SSD 512GB」(以下、WD Black PCIe 512GB)、そしてSerial ATA 3.0接続2.5インチSSDの最新版である「WD Blue 3D 500GB」を検証した。

 使用したベンチマークソフトは、CrystalDiskMark 6.0.0、AS SSD Benchmark v2.0.6485.19676、そしてPCMark 8(Storageテストのみ利用)だ。それではベンチマーク結果を確認しよう。

 CrystalDiskMark 6.0.0のシーケンシャルリード・ライトはほぼ公称値通りの結果となった。エクストリーム プロ M.2 NVMe 1TBは最速クラスのパフォーマンスを示している。シーケンシャルライトでは、エクストリーム プロ M.2 NVMe 1TBが2.8GB/秒級の結果であるのに対して、500GBモデルのWD Black NVMe 3D SSD 500GBは2.5GB/秒とやや控えめ。全く同じ工程で製造されている両製品に差があるのは、ブランドの違いではなく容量モデルによるパフォーマンス差だ。同じエクストリーム プロ M.2 NVMe 3D SSDでも、より高速なシーケンシャルライト性能を求めるならば、500GBモデルよりも1TBモデルを選んだ方がよい。

CrystalDiskMark 6.0.0の結果

CrystalDiskMark 6.0.0の結果

 そして4K(Q8T8)でのパフォーマンスも高い。エクストリーム プロ M.2 NVMe 1TBはリードが1.8GB/秒台、ライトが1.6GB/秒台の記録をたたき出している。先のシーケンシャルリード・ライトも同様だが、前世代、あるいはSerial ATA 3.0接続2.5インチモデルとは段違いのパフォーマンスだ。

 続いて4KのQ32T1は、前世代モデルのWD Black PCIe SSD 512GBとはそれほど変わらない値になった。ただし、2.5インチSerial ATA 3.0接続のSSDよりは速く、PCI Express 3.0 x4接続であることの意義は体感できる。

 最後の4K Q1T1は、シングルタスクでその都度データを読み出したり書き込んだりする作業をイメージすればいい。かなり小さな値となるため数値だけでは差が把握しづらいが、それでもSerial ATA 3.0接続の2.5インチSSDより大幅に高速なことが分かる。また、ライトについては前世代モデルのWD Black PCIe SSD 512GBよりも大幅に高速だ。

 このように、エクストリーム プロ M.2 NVMe 1TBはかなり転送速度の速いSSDであることがベンチマークテストの結果から証明された。それでは、もう少し別の角度から本製品の特性を検証しておきたい。

 次のグラフはAS SSD Benchmarkを用いてアクセスタイムを計測したものだ。読み書きの命令を受けてから実際に実行するまでの速度である。グラフを見れば一目瞭然(りょうぜん)。エクストリーム プロ M.2 NVMe 1TBモデルと、同じ工程で製造されているWD Black NVMe 500GBモデルは、圧倒的に短時間でアクセスできることが示されている。特にライト時は3分の1から4分の1以下の速度であり、レスポンスが非常に良いことが分かる。

AS SSD Benchmark v2.0.6485.19676(Access Times)の結果

AS SSD Benchmark v2.0.6485.19676(Access Times)の結果

 続けてAS SSD BenchmarkのCopy Benchmarkを用いたテストの結果を見ていこう。転送速度のグラフでは、おおよそ前世代製品や2.5インチSerial ATA 3.0接続モデルよりも速いことが分かる。体感で分かりやすい所要時間のグラフを見ると、ISOファイルのコピーに関しては、2.5インチSerial ATA 3.0接続モデルと比べると半分ほどの時間しかかかっていない。ランダム要素が多くなり、テスト時間も伸びる傾向にあるプログラムでも、エクストリーム プロ M.2 NVMe 1TBはより短時間で完了している。

AS SSD Benchmark v2.0.6485.19676(Copy Benchmark)の結果

AS SSD Benchmark v2.0.6485.19676(Copy Benchmark)の結果

AS SSD Benchmark v2.0.6485.19676(Copy Benchmarkの所要時間)の結果

AS SSD Benchmark v2.0.6485.19676(Copy Benchmarkの所要時間)の結果

 さらに、ゲーム性能でも大きな差が生まれた。WD Black PCIe SSD 512GBモデルに対して半分近くまで短縮でき、2.5インチSerial ATA 3.0接続モデルと比べればさらに短時間でコピーを完了している。

 この結果を見れば、エクストリーム プロ M.2 NVMe 3D SSDは幅広い用途で高速化の恩恵を受けられることが分かる。HDDと比べるとSSD自体かなり高速なので、Serial ATA接続のSSDで満足しているユーザーも多いと思われるが、最新世代のSSDに乗り替えれば、HDDからSSDに交換したときの感動を再び味わうことができるはずだ。

 最後はPCMark 8のStorageテスト。基本的にプログラムをロードし、処理し、それに要した時間を計測するベンチマークだ。CPUやその他の要因も大きく影響し、時間単位で見るとそこまで大きなインパクトはないが、実際のスコアは前世代のM.2 SSDであるWD Black PCIe SSDからは40ポイント、2.5インチSerial ATA 3.0接続SSDからは100ポイント近くスコアが向上している。転送速度で見るとエクストリーム プロ M.2 NVMeは600MB/秒弱で、前世代WD Black PCIe SSD 512GBモデルは400MB/秒台、そして2.5インチSerial ATA 3.0接続SSDは280MB/秒程度だ。

PCMark 8(Storageの所要時間)の結果

PCMark 8(Storageの所要時間)の結果

 テストの結果を項目別に確認しよう。前述の通り、このテストはストレージに対する処理の割合がそこまで大きくないため差が目立ちにくいが、例えば、エクストリーム プロ M.2 NVMeの主要なターゲットである写真補正という用途で見ると、Adobe PhotoshopのLightとHeavyのワークロードでは、2.5インチSerial ATA 3.0接続モデルに比べて、それぞれ4秒、8秒速く処理を完了している。

 ベンチマークテストではシナリオに沿って処理を実行しているわけだが、実際に自分が写真補正を行う作業時間に当てはめれば、4秒や8秒ではなく、もっと大きな時間の差となって現れるはずだ。業務をより短時間で処理したい、あるいは同じ時間でもっと多くのタスクをこなしたいというニーズは、フリーランス中心の写真家であれば誰もが求めるところだろう。

 最後に、CrystalDiskMark 6.0.0実行中のSSDの温度をHWiNFO64のログから抽出してみた。温度は消費電力と非常に近い関係にあるため、ある程度推測できる。

 グラフを見てみると、エクストリーム プロ M.2 NVMe 1TBが最も高い値を記録しているが、その代わりにエクストリーム プロ M.2 NVMe 1TBと、その同一製品であるWD Black NVMe 500GBは、負荷が高まりチップの温度が上昇しても、その後急激に温度が低下しているのが分かる。つまり放熱状態、または低消費電力動作になっていると推測される。

 これが前世代のM.2 SSDであるWD Black PCIe SSDでは、温度変化が小さい一方で、やや高めの温度で推移している。ここが大きな違いだ。温度だけ見れば、2.5インチSerial ATA 3.0接続SSDが最も低いが、パフォーマンスの差を考慮すれば、エクストリーム プロ M.2 NVMe 3D SSDの熱効率、電力効率の良さが理解できるだろう。

HWiNFO64(SSD Temperature)の画面

HWiNFO64(SSD Temperature)の画面


最新世代のエクストリーム プロ M.2 NVMe 3D SSDは写真家の武器になる

 サンディスクから登場したプロフェッショナル向けSSDのエクストリーム プロ M.2 NVMe 3D SSD。今回紹介した最新モデルは、現行最速クラスのパフォーマンスを発揮できることがベンチマークテストの結果から見えてきた。

 フォトグラファーはフリーランスが多い。そして現在は、カメラマンとしての撮影だけでなく、写真のレタッチ作業もワークフローに組み込まれていることがほとんどだ。より短時間により多くの仕事をこなすにはどうすればよいのか。その答えの1つがストレージの高速化だろう。エクストリーム プロ M.2 NVMe 3D SSDはプロクリエイター待望の製品といえそうだ。

ITmediaより転載

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